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2010年 6月 12〜13日 福島県あそこ
メンバー
たかさん(渓道楽)
HARAさん(瀧友会)
怪長、副怪長、銭無(日本吸盤協会)
文 :怪長
素材写真 : たかさん、副怪長
編集&画像処理 : 銭無
先ずは今年も無事ツアーが終了致しました事、大変嬉しく思います。
参加者の皆様の御協力、また、御声援を承った皆様に感謝致します。


今年もあそこツアーの季節がやって参りました!
渓道楽さんからはたかさん、瀧友会さんからはHARAさん、それに我が吸盤協会からは副怪長、銭無、そして私の参加です。
HARAさんは関越経由で、銭無は遥々岩の國からそれぞれ単独で待ち合わせ場所に向かいます。
私はたかさん、副怪長と某駅で落ち合い3人で待ち合わせ場所へ向かいました。
高速道路は事故も無く順調で、まだ暗い内に目的地インターに到着しました。
遠路遥々の銭無の様子が気になり連絡を入れてみます。

「もしもし、そちらの具合は如何ですか?」
「それがねぇ、今日眼鏡を壊しちゃってツルが片一方無いのよ」
「えぇ!?それで沢歩きは大丈夫なんですか!?」
「日中はサングラス兼のやつがあるから大丈夫なんだけど、流石に夜はサングラスだと見えなくて運転が・・・」
「あはは、そりゃそうですな。で?」
「片一方ツルが無いから傾いちゃってさァ、拙者の眼鏡は遠近両用なんだけど、傾くと片目が近視用で片目が老眼用になっちゃって、チカチカして運転が困難なのよ!」
「ぎゃははは!!」

いきなりの銭無のカマシに3人で大笑いです。
そんな訳で銭無の運転の事も考慮し当初の待ち合わせ場所よりインターに近い所に待ち合わせ場所を変更しました。
HARAさんにも連絡を入れて予定時間通りに全員集合し、入渓点へと移動です。
HARAさんは勿論、たかさんと副怪長も普段からそれなりに運動はしている様子ですが、暫く山歩きはしていないと言う銭無、私も本格的な沢歩きは今期初めて。
今日は緩〜い感じで行きましょうかね。でも、HARAさんは「そんなんじゃヌルイ!!」とか言いそうです。
と思ったら、
「私も皆さんとご一緒でいいですよ」
との返事。
滅多に顔を揃えられないメンバーだし、全員で同じ渓に入る事に決定しました。
入渓点には先行者も無く、これで今日一日この渓は我々だけで満喫できそうです。
例年やっている事ですが、今期初入渓なので遡行前に、酒・米・塩を供えて山渓の神に安全を祈りました。
沢へは皆様に先行してもらい、私は本流の様子をちょっと伺ってみました。
実はこの本流には山女魚が居るので、それを釣りたいと密かに思っていたのですが・・・
釣れたのは岩魚で、しかも6寸程度の可愛いヤツ(笑)
源流部ばかりに釣行している私にはこれで今年も山女魚を釣る機会は無さそうです(苦笑)

さて、先行している副怪長に追い付き様子を聞いてみるとアタリは無いとの事。
私も竿を出してみましたが、絶好のポイントでもアタリ無しです。
比較的最近の踏み跡があったので、下流部は釣られきってしまっているのかもしれません。
そうこうしている内に早くも雪渓が現れました。

「あら〜?こんな下流部で雪渓ですか〜?」
「う〜ん、これじゃこの先、危ないかね?」
「今年は雪が多かったですからねぇ」


この日、日中は30℃にもなる快晴でしたが、巨大な雪渓を前に都会では絶対にあり得ない妙な季節感を味わったのでした。
しかし、雪渓が出てきたと言う事は、以前の先行者が乗り越すのが困難でここ迄で引き返したとか、或いは雪が融けて以前は無かったポイントが露わになったとか、色々な要素で魚が釣れる可能性は高くなります。
思った通り段々アタリも多くなり、魚影も確認できるようになってきました。
とあるポイントで私が先行していた時に明確なアタリがありました。
絵に描いたような岩魚独特のアタリで、【名人級】の私は焦る事も無く、ゆっくりと一呼吸おいてアワセをくれました。
バッチリノッてます!逆らわずため込んで、ホラよ!っと魚に息を吸わせるべく顔を出させました。
「おぉ!大きい!」
すぐ後ろで見ていた副怪長と銭無が声を上げました。
【師範級】の私は余裕で魚を引き寄せ・・・・・引き寄せ・・・・・あっ!?
魚を見ようと岩を回りこんで近寄って来た副怪長と銭無が見たものは、何事も無かったように糸を垂れている私の姿でした(爆)

「あれ?お魚ちゃんは!?」
「何の事でしょうか?」
「今、魚釣ってましたよね!?」
「何の事でしょうか?」
「大きかったですよね!?」
「何の事でしょうか?」

私はちょっと悔しくてもう一度同じポイントに餌を送り込みました。
副怪長と銭無も、もしかしたらもう一度釣れるかもしれないと期待して見ていてくれたのですが、体半分水から出てしまった岩魚は警戒して潜り込んでしまったようで、2度と顔を出してはくれませんでした。
私は二人を振り返って言いました。

「ここには魚は居ないみたいですね」
「爆!!!」


ふと気が付くとHARAさんの姿が見えません。
HARAさん程のツワモノになりますと少し姿が見えなくなったぐらいじゃ誰も心配しません(爆)
しかし暫く待っているとHARAさんが追い付いてきました。
見れば既にコンビニ袋3〜4袋に山菜が詰め込んであります。
山菜は逃げないから帰りに採ればいいのになぁ。と思いましたが、HARAさんは更に増量していました(爆)
初めて出会った頃にはHARAさんはあまり山菜には興味無くて
「山菜?それ本当に食べられるんですかぁ?」
なんて言ってたのに変われば変わるものです(笑)


さて、暫くは副怪長と私が先行して魚も何尾か釣りあげました。
たかさんと銭無はイマイチ積極的に釣ろうとしないので
「どうぞ、先に行って釣って下さい」
と言ったのですが、
「う〜ん、型物が釣れ出したら竿出すよ」
との返事。
副怪長と私に様子を探らせて美味しくなってきた所で自分は竿を出す魂胆でしょう(笑)
でも、実は私は既に8寸〜9寸のお手頃サイズを何尾か釣っていたのでした。
それを見ていない銭無は上記のような事を言ったのでした。
私は銭無に聞きました。

「型物ってどのくらいのサイズを言うんですか?」
「まぁ、8寸とかね、9寸とか・・・」
「ふ〜ん、例えばこんなのですか?」
と釣った魚を見せると
「なにゅ〜ん!?釣れてんじゃないですか!?」

それを横目で見ていたたかさんの瞳が怪しく光ります(笑)
今年はテンカラは諦めたようで最初から餌釣りの様子です(爆)
餌釣りともなればベテラン中のベランダのたかさん。サッと次のポイントに竿を出すやすぐさま良型を釣りあげました。
「おぉ!大きいですね!」
9寸超えの素晴らしい魚体にたかさんもニッコリです。
一昨年だとこの後私が尺物を釣ってしまい散々イヂメられる運命だったのですが、今年はこの1尾が大物賞となったのでした。めでたし。

その後いくつかの雪渓を潜り、越えてきたのですが、遂に少々処理が困難な雪渓にぶち当たりました。
まだまだ時間は早いのですが、メンバーの中に数人既に温泉とビールがチラつき始めた方も居たようで
「何となく越えるのが大変そうだからそろそろ引き返しますか〜?」
の声が(笑)
HARAさんは「え?もう引き返すの?」と言う顔をしていましたが、それもいいか!と言う感じで了解してくれました(笑)

大休止をした後は本格的に山菜モードです。
私も山菜目に切り替えノンビリ新緑の渓を楽しみながら山菜を採りました。
山菜採りともなると皆様スゴイ行動力で、急な崖に取り付くは、雪の残る斜面に登るは、山菜ばかり見ていて足元を見ていないからコケるは(爆)
遡行には多くの雪渓に悩まされましたが、お陰で早期にしか採れない山菜も採れて笑顔は増すばかりです。

勿論我が協会の楽しみである遡行技術訓練も忘れてはいません。
銭無がちょっとヤラシイへつりに挑戦しました。見守る全員が
「落ちろ〜、落ちろ〜」
と呪文を唱えています(爆)
「暫く山渓遊びはしていないから身体が鈍ってる」
と言っていた銭無ですが、いやいや、なんの。見事にクリアして本人もホッとした様子です。
しかし誰も褒めたりはしません。
「ちぇっ、何だつまんね〜の」
「ここで落ちればオイシイんですけどねぇ」
たかさんに至っては
「なんだ、落ちると思って動画で撮ってたのに」
これにはみんな大笑い。
でもね、銭無が途中ちょっと蝉になりかけて一度出した足を引っこめたり、また出したりしながら苦笑いしていたのを私はちゃんと見ましたよ(笑)
その動画を見たら早送りと巻き戻しを続けてる画像みたいで面白いかもしれません(爆)

気の合う仲間でワイワイやりながらの帰路はアッと言う間です。
今年の楽しいツアーも終了の時が近づいてきました。
いえいえ!実はこの後が温泉〜宴会と本番なのですが(笑)
入渓時に供えたお酒を渓に流し、
「今年も素晴らしい時をありがとうございました」
と山に向かって頭を下げ渓をあとにしました。