現在私達の周りは物で溢れています。それらは日々改良され、また、次々と新商品が登場し、増加の一途を辿る一方です。
私達、山渓で遊ぶ者が使う道具も例外ではありません。古くから山渓に親しんできた諸貴兄達の中には、
「昔に比べて便利な道具が随分増えたなァ」
と感じていらっしゃる方も多い事でしょう。「便利な道具」を正しい扱い方で効果的に使用する事は、とても良い事だと思います。
しかし、一方でどこか引っ掛かる部分もある。
−何でもかんでも全て便利な道具に頼ってばかりで良いものだろうか?−
自然の中での時間を楽しむのであれば、自然と一体感を感じる為にもなるべく人工的なモノを使いたくない。そんな気持ちもどこかにあるのです。
我会のコンセプトの一つはそこにあります。己の身体一つでどこまで力を発揮出来るか?道具を使わない身体一つでの勝負です。
あたかも吸盤が付いているかの如くピタリと岩肌に手足を吸い付ける・・・そんな技術を磨く事を楽しみにしているのであり、これが我会の名称の由来でもあります。
右岸のヘツリが容易であるにも関わらず、左岸に取り付いてみたり、高く巻く道があっても水通しに遡行してみたり・・・そんな事が楽しいのです。
誤解の無い様に記しておきますが、これらは「失敗した場合でも水に濡れるだけ」など、危険が伴わない場合に限るのであって、安全には充分配慮した上で行っている事です。無理を感じた時は安全確保の為の道具を使う事を躊躇しません。また、私達メンバーはフリークライミングの講習や沢トレーニングへの参加、ロープワークや道具の正しい扱い方の知識の習得など積極的に行っています。
これらトータルな遡行技術を学びながらも基本である身体一つでの挑戦に楽しみを感じているのが我会のメンバー達なのです。
大自然に身を委ね、取り付いた岩肌と身体の境目が大自然の空間に微妙に融け始める・・・
そんな時私達は「気持ちイイね!」と微笑み合うのです。 |
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2006年 11月 吉日
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