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2007年 6月 9〜10日 福島県あそこ
メンバー
たかさん(渓道楽)
malmaさん(フリー)
怪長、副怪長、常無、銭無(日本吸盤協会)
文 :怪長
素材写真 : たかさん、副怪長
編集&画像処理 : 銭無
 あそこツアーも今年で八年目になる。昨年は諸々の理由で催行が中止になったが、それでももう七回のツアー回数を重ねる事になる。 始めはネットで知り合った者同士のオフ会釣行といった趣だったが、回を重ねる毎に毎年恒例の行事となってきた。 普段なかなか連絡が取れない相手でもこの時期になると「今年のあそこツアーは・・・?」と気にしてくれている。 主催している私にとっては本当に嬉しい限りである。今回などは現地に向かう途中でmalama氏から

「急遽これから追いかける」

と連絡が入り、驚くと共に一緒に楽しめる友を持つ嬉しさを改めて感じた次第である。

未明、集合場所で再会の挨拶をする。しかし、普段からネットなどで会話しているので、久しぶりという実感は薄い(笑) 今回は計六名が集まった訳だが、「釣り」を中心に考えるなら1パーティでは人数が多すぎる。しかし、誰とも無く言い出した
「別れないで皆でゾロゾロ楽しく行きましょうよ」との提案に首を振る者はいなかった。 こうしたところも方向性が同じ者同士の気持ちが良いところだ。 かくして今年のあそこツアーは始まったのである。

さて、本来なら真面目な遡行記にしたいところだが、渓道楽のたかさん、銭無の個人サイトでも今回の様子はアップされるはずだ。原稿を記している現在の時点でその内容は判らないが、恐らく二人とも渓への思いを込めた真面目なレポートなのだと思う。 従って私は今回は「お笑い」の方を中心に担当させて頂く事にする(笑)


入山点に到着、それぞれ着替えをしていると銭無が「あっ!」と叫ぶ。こういう状況での「あっ!」は大体ロクなもんじゃないんである。 用意した餌を持ってくるのを忘れたと言う。まぁ、今回釣りはそこそこ、それに相手は岩魚だから、川虫だろうがバッタだろうが餌なんて 何でも良い訳で、いや、むしろ市販のブドウ虫なんかよりその方がずっと良いはずだから、どうにでもなるのだが、そんな事もあろうかと 一応用意してきたブドウ虫の使いかけを

「しょうがないなァ。ホラ!これを使いたまえ。高くつくよ〜」

と恩着せがましく渡した。実は以前私は銭無から餌を分けてもらって釣りをした事がある。その様子は銭無の個人サイトにも紹介されている。 だから本来はこれでツゥーペイなのだが、義理堅い銭無は

「ハイ、じゃこれ代金」

と100円渡してきた(せこい?爆)

本流を渡渉し、杣道を歩き始めるが、ここはいきなりのアップダウンなのだ。話を良く聞けば、たかさんもmalmaさんも銭無も 源流行は今回が今期初だと言う。かく言う私達も先月に一回行っただけで本格的な歩きはこなしていない。 それでなくても我が会は元々軟弱集団なので、歩き始めて30分ぐらいで皆ハァハァ言ってるんである(爆) それでも傾斜が緩くなると皆、息も落ち着いてきて、眼下に見え出した渓をゆっくり眺める余裕が出てきたようである。

この渓の釣りとしての核心は上流二股以遠だが、下流部にも魚は居るし、下流部には面白いヘツリができる所が多いのだ。
吸盤協会としては当然下流部からの入渓である(笑) 最下流の広川原を歩いていると「後ろからキャディのオバさんが付いてくるんですけど」と言う者がいる。 「???」と振り返って見ると、キャップを被り、顔を覆う虫避け網を着け、首に手ぬぐいを巻いたmalmaさんが居た(爆) いつもヒルが多い渓などで遊ぶ事が多いので、malmaさんとしては定番のスタイルなはずで、 まさかキャディのオバさんなんて言われるとは思ってもいなかったことだろう(笑)
kak
笑いながら歩いているとちょいと嫌な感じの岩肌が現れた。とは言ってもホールドも多く、吸盤協会としては楽勝のヘツリだ(笑) 私は後続を気にすることも無く先に歩みを進めたが、後ろで何やらガヤガヤ言っている。私が振り向いた時、丁度常無が落ちた(爆) 皆、非常に楽しそうに笑っている。何が面白いって他人が水の中にドボンする瞬間ほど面白いものはない(笑) しかも常無はドボンのスペシャリストだ(笑)皆、「ここで落ちれば面白いのにな〜」「落ちろ〜落ちろ〜」と呪文を掛けているのだ(爆)
ここでお約束通り落ちるのが皆に愛されるコツであろう(笑)更に遡って行くとやや難易度が高いヘツリが要求される場所に着いた。この場所は水の多い時は特に嫌な場所なのだが、
今回は水も少ないので安心して挑戦できそうだ。銭無に

「ここで落ちたら降格ですよ」

と言い残してヘツリ始める。 通常ヘツリも高巻きもなるべく低く巻き、場合によっては水中に足場を求めるのも常なのだが、この場所はやや高い場所にホールドがあり、 ホールド間も結構離れている。だが、軽く斜め上に上がりながらヘツれば何とか上手くいく。果たして銭無がそれに気付くかどうか・・・。 しかし、先行した私のルートをしっかり見ていたようである。私よりタッパもリーチもある銭無は危なげなくヘツってきた。

こういう場所で不利なのがたかさんである。吸盤協会のメンバーはこの年代にしては皆背が高いのだ。 メンバーの中では177cmの私が一番背が低いくらいである。malmaさんもスタイル良しのキャディ忍者だ(笑) たかさんは私よりタッパがない。当然やや離れ気味のホールドをこなすには無理が生じるのだ。 しかし、足を支えながらホールドまで引っ張ってあげたら難なくクリアしてきた。柔軟性は優れているようだ。 私などは足を引っ張られたら股関節が脱臼してしまうであろう(爆)

結局、全員が落ちる事もなく無事通過したのだが(面白くないが(爆))安心するのも束の間、すぐに今回最高の難所に到着だ。 ここは当然「抜き打ち遡行能力試験」である。

「銭無、ここは自分でルートファインディングして下さい」
「へ?」


暫く岩肌を眺めていた銭無だったが、ルートを見出したようだ。
実はこの場所二つのルートがあり、トラバースしながら上部に高巻く方法と、 トラバースしながら下降して川に降りてしまう方法がある。水量の少ない今回の場合だと「トラバース→高巻く→降りる」より 最初から下に降りてしまった方が効率が良い。銭無は?と見ると高巻きのルートを選んでいる。 まぁ、それもありなので、無事通過さえできれば合格である。 そこへ副怪長が近づいて来て言った。

「ここは下だよね?」
「うん、でも下のルートは気付き難いし、難易度もちょっと高いからね」

私はそう答えて巻き終わろうとする銭無を尻目に下へのルートをとり始めた。上から銭無の
「なにゅ〜ん?下なの〜?」の声を聞きながら
「見ていたまえ」とばかりにヘツリを・・・ヘツリを・・・あぇ〜???
どうもお腹の辺りが岩に当たるんである(爆)う〜ん、最近太ったからなぁ(自爆)
危うくセミになりかけそうな私に皆からの声援が飛ぶ。

「ヨッ!怪長!どうした!?」

「セミか?セミ!?」
中には
「鳩出せ!鳩!」

などと訳の解らない事を言う者もいる。
しかし私は冷静に一歩戻り違うホールドを選択した後、難なく川へ降り立った。 頭上から「な〜んだ、つまんない」と言う声が聞こえたような気がしたが、空耳であろう(笑)こんな様子を見ていたたかさん、前が詰まっているせいもあり
「あたしゃ、まっぴらゴメン」とばかり手前から高巻き始めた。 ところがこれが大正解!苦労してヘツった先に待っていたのは到底処理不可能な大雪渓であった。先行して様子を見に行った私は後戻りし、 後続に向かって大きくバツ印を出した。この下流域でこの時期まで大雪渓が残る地形である。当然のように完全V字の渓で、雪渓前後は 簡単に高巻ける地形ではない。結局はヘツった地点からそのまま大きく高巻くしかなさそうである。
(誰だ!下に降りた方が効率が良いなんて言ったのは!?)(自爆)
そんな訳で皆で高巻きを始めるとそれに気付いたたかさんがトラバースして近づいてきた。

「あれ?結局高巻いたの?」


苦笑いで返すしか術のない私であった(苦笑)

いいの!これが吸盤協会の修行なんだから!!
結局杣道に戻った我々一行はそのまま暫くは杣道沿いに歩みを進めたが、眼下の渓を眺めるともう雪渓も出てこなそうである。 そうとなればまた渓に戻りたいのが人の常(笑)私は相変わらず先行しながら下降ルートを探すが、 記憶にあったルートが無くなって?いる。(帰りに下から見てみたらルートのあった岩肌が崩壊していた)
私はルートを探しきれずに常無からの

「どうですか?降りられそうですか?」
の声にも曖昧に
「う〜ん・・・ちょっとどうかなぁ」
答えただけだった。そして最終的に出した決断がこれだ。
「え〜各自好きな所から降りて下さい」(爆)

こうして私の素晴らしいルートファインディングのお陰で皆無事に再度渓に降り立った訳であるが(爆)
ここまで来ればもう岩魚天国の入り口だ。今まで他人任せだった釣りだが、私も竿の用意を始めた。 しばらく竿を出してみるが、どうもアタリが遠い。渇水のせいもあろうが、以前より砂も出ていてポイント自体が少なくなっている。
ここぞ!という大場所でもアタリがない。魚も一向に走る姿がない。うむぅ・・・と思っていたが、小滝の脇にできた小さな溜まりに 何気なく餌を落とすと一発で魚が喰い付いて来た。な〜んだ、お魚ちゃん居るじゃないの(笑)

それを確認した一行の足取りが急に速くなった(爆)
でも、7寸なのよね〜(苦笑)魚のサイズを確認した銭無は鼻で笑っていたようだが、私は今日は一匹釣れば良いと思っていたので、 これでさっさと竿を仕舞った(笑)

一行を追いかけて行くと見覚えのある場所に出た。かつてこの先で副怪長と釣り堀状態を経験した滝がある場所だ。 右岸、左岸ともポイントになっており、どちらを選ぶかジャンケンで決めたところから私達は「ジャンケンポイント」と呼んでいる。 今日のような渇水の時でも右岸側は小枝沢の流れも相まって必ず魚が付いている。しかも大抵は大物が潜んでいるのだ。 恐らくは枝沢からの餌の流出もあって右岸の方が岩魚にとって良い場所なのだろう。私は追いついた先にいた銭無に事情を説明した。銭無の身体がスーっと右岸側へ寄っていった(爆)
あ、
たかさんは左岸を攻めるようだ。先に魚の気配を感じさせたのはたかさんの方だった。私は横目でしか見ていなかったが、
たかさんが流す仕掛けの先に反転する魚影を確かに見たのだ。それをたかさんに話すとたかさんも当然承知していた様子で再度攻めている。

しかし、私は銭無の方も気になっていた。いい所に餌が落ちた。吸盤協会直伝のオモリ無し釣法の仕掛けは流れに逆らう事なくグルリと流れている。1周・・・2周・・・3周目にそのままグルリと行くはずの目印が途中でルートを変えた。来た!私は思った。しかし、銭無は微動だにしない。あれ???ルートを変えた目印はその後渦の中心辺りにノソノソ動いた後ピタっと止まった。流石の銭無のこれには気付いたようで慌てて合わせをくれている。あのね〜・・・
だが、これがなかなかの型であった。いい引きをしている。見ているこちらの手にも力が入る。あがってきたのは丸々太った9寸超えの岩魚であった。
「残念だね〜尺には届かなかったか」
の私の声に
「いえいえ、このサイズが釣れればこれで充分(誰かのより大きいし)」
と答える銭無であった。
「まぁ、餌が良いんじゃないかな〜」
と言い返すと
「あ、そうかもね」

ともう余裕の表情であった(笑)

一旦魚が釣れだすと後はもう入れ掛りに近い状態に。二股出会いではスグに副怪長とたかさんが連続で魚を掛けたし、小沢側に入っていった malmaさんも数尾の型を見たようだ。最後まで釣れていなかった常無だけが先走りドンドン先行してしまったが、 我々はもうこれで充分とばかりに二股にてコーヒータイムを決め込んだ。二股上流ではたかさんが9寸超えを追加してこれまた満足顔だ。 随分と待ちくたびれたが、常無も型を揃えて戻ってきた。上流はポイントごとに入れ食いだったという。 下流部の様子では少し心配になっていた私だったが、「あぁ、まだここは沢山魚がいるなぁ」と思うと嬉しくなった。 いつまでも健在でいてもらいたいものだ。

本来ならこの二股以遠が釣りのメインだが、雲行きも怪しくなってきたし、それぞれ型を見た私達は皆満足し、帰路へ向かった。 というより、実はこれからが本当のメインの山菜採りなのだ(笑) ところが2週間遅かった!!山菜は豊富にあるのだが、どれもこれもアダルトなものばかり(笑)巨大に開いてしまったコシアブラを 見つけては

「あぁ、これは・・・もう・・・もっとロリなのは無いですかねぇ?」

などと苦笑するばかりだ。
まともに採れたのはワラビぐらいであったが、皆「処理が面倒くさい」などと軟弱な事を言って持ち帰りたがらなかった。 それでもタラやウルイの若芽をチョイチョイと摘んでとりあえず今宵の天麩羅分ぐらいは確保できた。

帰路は山菜を採りながら、ゆっくり休憩しながら、で通常2時間ちょっとの道のりを3時間もかけて戻ったが、気の合った仲間とは こんな感じも良いものだ。この後は温泉に入り、バンガローを借りての、マッタリコースだ。 普段の喧騒を忘れるにはこのぐらいの時間の流れが良い。

また来年も楽しい渓遊びが出来ますようにと振り返った山に頭を下げて渓を後にした。